難しい継もの-1

お気に入りの器が焼締めで、破れてしまった場合、

継ぐことは可能なのですが、とにかくいろんな処理が難しいんです。

難しいというか、手間がかかると言った方がわかりやすいかもしれません。

左の画像、私の私物ですがとても気に入っている

1人用の急須の蓋です。

備前だったかの焼締めなので、釉薬がかかっていません。しかも剥がれるように割れてしまったので、割れた部分が薄かったんです。

ですが長年付き合ってもらっているので愛着があり継ぐことにしました。

 

まず、薄いのでくっつけるまでに何度か破片の方が割れそうになり、そーっと割ないように押しながら、でも段差なく接着。次につけた部分からはみ出た麦漆をきれいに取り除くんですけど、釉薬がないので器の肌に入り込んでいるのを、少しづつ取り除いて行く作業に根気必要です。そんなにはみ出ないようにすればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、麦漆を薄くつけてもやはり幾分かははみ出ます。

 

生徒さんから「最後に全て綺麗にするではダメなんですか?」とよく聞かれますが、一つ一つをきれいに滑らかに仕上げていく事で、最後の仕上がりに差が出てくるので、「根気がいるけど集中して綺麗にしましょう。」とアドバイスしています。

 

そして、次の工程の切子、錆も滑らかにするため凹凸のあるところに上からなすり付けていくので、割れた部分以外のところにはみ出ます。これも同じように綺麗にしていくので思った以上に手間がかかることになりますね。

次の難関は、継いだ部分を呂色漆でコーティングしていくのですが、これもはみ出たりした部分を綺麗にするのが手間がかかるので、なるべく集中してはみ出ないように、また線はなるべく細く書いていきます。がやはりはみ出ることはあるので、そうするとエタノールで、継いでいる箇所のキワキワまで慎重に拭き取る作業をします。

 

そんなこんなで、やっと金で蒔くことができたのが左の写真です。そして湯呑みとお揃いで写真に収まることができました。(湯飲みも欠けてます、どんだけ欠けてるのとお思いでしょうが。笑)

 

さらに愛着が湧き、これからも大切にしたい器になりました。(嬉)

次は、ご依頼品でやはり難しかった器を紹介しますね。