金継ぎ徒然

楽茶碗と初めての出会いでしたが、断面を見るとスカスカしていて、すごく麦漆とかが染み込みそうだなーと思い、防染をしっかりやって、麦漆を塗って接着!とぎゅっと押したところで、1つのパーツがグニャリと割れてしまいました。(わーっとなりましたが、落ち着いて・・・もちろんご依頼主様にもすぐ報告しました。)

 

防染は通常塗って乾いたらすぐに麦漆を塗って良いのだけれども、防染自体もよく乾いた方がなんとなく接着部分がキリッと上がる感じがして、最近は防染した後2、3日は乾かしてから接着しています。

 

この楽茶碗、麦漆を塗るとなんだかぬれ煎餅みたいな質感で、どこまでも形が変わりそうな感覚でした。

無事に接着して、滑らかにしていくのですが、元々の形に凹凸がある景色なので、それに習って凹凸があるわけですが、特に内側を磨くのが結構大変で、影になっているので磨けているのか磨けていないのか暗くなると

見えない感じで、このような器はやはり光があるうちに作業しないと隅々まで磨けないことがわかりました。

 

このように、器によって質感はもちろん形状が違うために磨きづらい、蒔きづらいなどあって、出来上がったときはほんと、頬づりしたい気持ちになります。(しませんよ、もちろん。笑)

次はアンティックの九谷焼。こちらは磁器ですね。白い器はやはり防染をします。磁器は比較的ににじみは少ないんですけど、やはり防染して2、3日おきます。私の場合。

この器はごっそり欠損だったので、ないパーツは麻の生地に糊漆を染み込ませて、パーツを建てていくんですけども、物によって糊漆より麦漆の方が良い感じがしてこの小皿の場合は麦漆を染み込ませました。理由は強度が増す感じがするからです。

 

多分、陶器の場合は糊漆でも良いかもしれませんが、磁器やガラスの場合は麦漆の方が質感が合う感じがします。感覚でしかないんですけど。

 

この小皿も金が映えて美しいですね。小さい世界に吸い込まれそうな景色です。海老茶色の唐草模様も金とよく合います。昔の絵付けを見ていると配色や繊細さに惚れ惚れしますねー。

 


こちらは、手ふきふうなガラスのコップ。底の厚みと口部分のフォルムのコントラストが美しいデザインです。

2度目のご依頼で、前もガラスのコップでした。気に入っていただいて今回もご依頼いただいたわけですが、

前回もにゅう(ヒビ)が入ったガラスのコップで、含浸(ヒビの部分に麦漆と生漆を混ぜたものを希釈して染み込ませヒビを埋める手法)をしていたら、パリッと二つに割れてしまいました。

(いくつか前のブログに書いているかもですね、イチゴ柄のコップですけど。)

 

これもよくあることなんですけど、染み込んだ隙間の液体が膨張するんですね、そして割れてしまうわけです。

そのようにアクシデントはつきもので、そこからどうするかも考えるのが楽しいところです。

 

今回は、割れることもなく順調に塞ぐことができました。

ですが、このように口が細いと中のにゅう(ヒビ)の線に沿って漆を書いていくのが、ガラス越しに表からしか見えない場合もあり、その感覚に慣れるのがちょっと大変で面白いところです。

 


最後は大道のバカラショットグラスです。こちらもにゅう(ヒビ)のみでしたので、比較的難しくはなかったのですが、バカラを触っていて常々感じていたことがありました。柔らかいガラスだなーと。

 

ある日生徒さんに、「贈り物でバカラって多いけどなんでなんだろうね?何が特徴なんだろうね?私は柔らかい感じがするんだけどね。」と話ていたら、早速検索してくれて「透明度に優れている。柔らかいため加工がしやすく複雑なカットがしやすい。だそうです。先生が言う通り柔らかいそうです!」

おー!!、やっぱり柔らかいのかー!と自分の感覚は間違っていなかったと確信した瞬間でした!

 

なので、炭で磨く時もなるべく優しくやさしく磨いて、整えていきます。

 

そんな風に一つ一つのご依頼品にそれぞれの個性があり、鍛錬のしがいがあり、皆様の器でこちらが楽しませてもらっている感じもして、金継ぎってほんと楽しいっ!て感じる今日この頃。日没との戦いですが。(笑)

 

最近、大物の本物のご依頼があり、どう仕上がるかとても楽しみなのですが、ご報告できる時が来たら、ブログにUPいたしますね。(なかなか仕上がらないかもなー。)

 

久しぶりなブログ更新だったので、盛りだくさんになってしまいましたー!

こまめにUPします!(いつも心には誓う!)